【博士課程のメリット】学生さんを研究者に勧誘するには?

現在博士課程に在籍されている、てぃーさん(Twitter: @2RsoYF2DQgi4lSY、Blog: てぃーの博士生活で学んでること)にお声がけ頂き、
先日、学生さんと研究者の方々の集まりに参加させて頂きました!

■テーマ: 「学生を研究者に勧誘するには?
■場所: Zoom
■参加者:9名(社会人3人、学生(博士1人、修士2人、学部3人))

主な内容
(1)学生を研究者に勧誘するには?
(2)博士課程について
(3)Q&A

とても興味深い内容だったので、以下に議論の内容をまとめます。

普段は聞けない貴重な対話でしたので、ぜひ見てみてください!

以下、灰色の部分は、私の勝手なコメントです。笑

(1)学生を研究者に勧誘するには?

1.大小問わず、自分の知識を使える場面を与える。

→研究者としてのふるまいを経験することで、研究者になろうという意識が芽生えるため。

2.情報を発信する。

→お金の問題で、研究者になることを諦める人がいるから。

(2)博士課程について

1.博士過程進学理由

■博士課程進学を決めたとある修士学生さんにご意見を頂きました。

・博士のメリット/デメリット

 〇研究環境が良く、自由度が高い

 〇自分の能力をもっと伸ばせる

 ✖就職が遅くなる

 →しかし、最近は企業も積極的に博士を採用している

・企業のデメリット

 ✖自由度が低い

 ✖その企業内での活躍は出来るが、汎用的な能力が身につかない可能性がある

・博士課程進学理由

 博士の人と話して、その能力の高さに影響された

 後輩を育てたい、いい影響を与えたいと思った

■過去に博士課程を取得した/取得予定の方にご意見を頂きました。

・個性を示すために博士号が良いと考えた。

・全合成を終わらせたかった!(笑)…化学系の方です。

・メリット・デメリットを比較してメリットがあると判断して博士課程への進学を決めた方
・研究の流れで自然に博士課程への進学を決めた方
の2パターンでした。
なかなか興味深いですね。全合成が理由というのはなかなかすごいです。(この方は博士課程時に全合成を終わらせ、論文を出したそうです!)
メリット・デメリットは個人によって観点が違うため、同じ条件でも異なる判断になりますね。

2.博士の就活(研究職と仮定した場合)

■面接

 ・博士は研究者としての能力を期待されているので、サークルやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)等は聞かれない。

 ・面接では研究内容を深堀される。

 ・学会みたいな感じ。(専門外の人にもわかりやすく説明する能力が求められる)

■就活するうえでの博士(修士)のメリット

 ・博士に行くとコミュ力*が伸びる。

  *コミュ力=相手に説明し、分かってもらう能力

 ・論文により文章能力が鍛えられる。(ESの文章などは余裕で書くことができる)

博士(修士)のメリットとして紹介しましたが、
「学部生にはできない」ということではありません。
学部生でも教授と交渉したりなどして研究はできるので。
博士(修士)に進むとこのような機会が多く得られるよ、という意味でお受け取りいただければと思います。

3.博士のメリット

・論理的思考力、説明力、プレゼン力

・教授とやりあうことで、物事の推進力が鍛えられる

・年齢が関係なくなる、対等にやりあえる

教授とやりあえるのはすごいです!なかなか味わえない醍醐味ですね。

4.修士/博士の経済事情

・学費+生活費+(留学や趣味など)

・地方の大学の場合は生活費も安いし、趣味の時間はほぼ無いので、余分なお金を使わずに済む。

・奨学金を借りても、優秀な成績の場合は免除になる。

地方国立に進学し、優秀な成績をおさめるのが最もお金がかからずに済みそうです。
余談ですが私の友人に企業から奨学金を貰っていた人もいましたので、国の奨学金だけではなく企業の奨学金を探すのも良いかもしれません。

5.博士課程を目指す学部生・修士学生へのアドバイス

情報を集めよう!

という一言です。

・教授の持っている科研費を調べてから研究室を決めるべし。

・教授の出した論文も調べるべし。

特に教授がお金持ってるかどうかは、シビアですがすごく大事ですので、面倒くさがらずにしっかり調べると良いです。

KAKENという科研費(=研究費)を調べられるサイトがあるので、教授の名前を打ち込んでリサーチしてみましょう。

また、学費などについては、大学のホームページに結構載っていると思うので、チェックしてみてください。

留学も、奨学金が出ることが多いのであきらめないで探してみてください。

とはいえ、いろいろな条件があったり、1年前や半年前から申し込まないといけないなど、制約があるものが多いので注意してください!
私はドイツに半年留学しましたが、留学が決まった時はすでに、日本国内の奨学金はほぼ全部締切り期限が過ぎていました。笑
(締切り早すぎ問題。。。)
結局EUの奨学金を貰うことができましたが、かなりの荒業だったので、きちんと情報を集めることは本当に大事です!
(それでも日本がダメなら海外の奨学金を探しましょう!笑)

(3)Q&A

博士課程取得者とお話できる機会はなかなかないということで、

学生さんから博士課程取得者に対していくつか質問がありました。

とても参考になると思うので、以下に記載します。


Q1)研究職が身の回りに居ないので、どんな感じかわからない。

 国と企業の研究職の違いは?

A1)一番の違いはお金があるかどうか。(お金は大事)

 大学によってはお金がかなり少ない場合もある。

 その点、企業は予算がついている。

 例:企業では一人当たり3000万円/年の研究費がある。

企業の研究費は素晴らしいですね。日本で一番研究費をかけているトヨタ自動車では年間8000億円(!)、電機メーカーでもソニーやパナソニックは4000億円など、かなり潤沢です。
一方、大学だと研究費は教授次第です。たくさん予算を持っている教授もいるので、確認してみてください。


Q2)そもそも修士に行く人が多いのかどうか

A2)大学による進学率の違いがありそう。環境次第で、修士進学率は異なる気がする。(という意見が多かった)

学費の問題もあってか、私立よりも国公立大学のほうが修士進学率が多い傾向にあるようです。


Q3)博士進学した人の学部時代の過ごし方は?

A3)周りが修士進学が多かったため修士に進学した。

   学部時代はそんなに勉強しなかった(!)笑

意外なことに、サークル活動や、他の勉強や読書をしたりなど、研究一辺倒ではなかったようです!


Q4)学生実験など、学部で今学んでることは役立つのか?

A4)・繰り返しやることで、自分の知識を使える知識にすることができる。

   ・研究室に入ってからも、学部時代の基礎知識が必要。

   (忘れてしまっている場合、学びなおすのが大変。)

学部の時の基礎的な勉強は結構しんどいですよね。でも、学部での勉強をさぼってしまって研究室に入ると、「あのときやっておけば良かったー!」と後悔することが絶対にありますので、我慢強く勉強すべきだと思います(経験者は語る…。私はかなり基礎をさぼっていたので研究室に入ってからめちゃくちゃ苦労しました…)


Q5)修士・博士に進学する中での勉強量・読書量は?

A5)

〇本について
・本は読んでる人が多い。
・能動的に「この知識が足りない」から本を読む、という行為が増えた。
・研究に直接関係ない本も読む。
・社会人になってから、研究分野以外の本も読むようになった。

〇勉強量について
・修士以上になってからは、論文を読む習慣&実験をする習慣を付けた。
 ex)毎日0.5~1本、週に2本など、自分なりに決める。
・セミナーに出たり、勉強会を開いたり/開いてもらったりする。
(Twitterには詳しい人がたくさんいるので、その方々に聞いてみるという方法がある。また、Web上で参加できるセミナーも多いので気軽に参加できる。)

みなさん本当にすごいです。。
普段から論文を読む習慣をつけるのは本当に大事ですね。わたしは全然論文を読まなかったので、研究会での論文紹介の時は毎回ギリギリで、本当にダメダメでした。涙
この記事を読んでるみなさんはぜひ論文を週に1本でもいいので読んでみてください。あとから自分のためになります!(失敗者は語る。笑)
私はTwitterはあまり使用しないのですが、Webセミナーはかなり色々な専門分野のものが無料で存在するので、ググってみると良い機会が見つかると思います。


かなり面白いQ&Aでした!勉強になる。。。

最後に

私は修士卒で、メーカーで設計している人なので、全くこの会の趣旨には沿っていない存在だったのですが笑、

学生さんや、博士課程を取得した方がどのような思考回路なのか、
また、研究者という職業の素晴らしさを、再度学ぶことができました。

私は研究者には向いてませんので(悲しいことに…)、異なる立場から、

研究者を増やすために&研究活動を活性化させるために、

積極的に行動していきたいと思います。

ではでは、お付き合いいただきありがとうございました。

てぃーさん(Twitter: @2RsoYF2DQgi4lSY、Blog: てぃーの博士生活で学んでること)は、様々なテーマの会を主催されているので、

ご興味のある方はぜひぜひ参加してみてくださいね!

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